2009年6月6日土曜日

Razorfish社のClient Summit09, Social Influence Marketing責任者Shiv Singh氏のプレゼンテーション

世界的に有名なインタラクティブエージェンシーRazorfish社恒例のクライアントサミットがラスベガスで開催された。このサミットはOmniture社が開催するOmniture Summitのように、自社の世界中のクライアントを集めて、次世代のマーケティングに関するプレゼンテーションを実施する場、特定クライアントのケーススタディを共有して学ぶ場、そしてそれぞれの広告主やパートナーたちがネットワーキングするイベントである。

Razorfish社は書籍「グランズウェル」などで知られているように、クライアントに対しても、自社の組織に対してもソーシャルテクノロジーの活用を推進している。また、この変化の激しいデジタルマーケティングの領域において、「Social Influence Marketing(TM)」を提唱し、いち早くグローバルにソーシャルの力を活用したマーケティング戦略を進めている先進的なエージェンシーである。

本稿では現在のRazorfish社の肝となっているSocial Influence Marketingの責任者であるShiv Singh氏のセッション「Art of the Idea: Big Idea 2: Social Influence Marketing」を取り上げたい。

Big Idea: Social Influence from on Vimeo.






このセッションで彼はSocial Infulence Marketingを推進するためのIdeaとして以下の5つを提唱している:
Idea1) - Customers cerating customers
Idea2) - Innovating with others or dying alone
Idea3) - Daring to take your whole budget into SIM
Idea4) - Knowing your cuntomers and their friends
Idea5) - Restructuring for the 21st century


Idea1)について触れたい。過去にピータードラッカーは「The purpose of a business is to create a customer (ビジネスの目的は顧客を創造することである)」という経営を説いた。ドラッカーは企業が顧客のニーズに対応するために、社会は企業に対して富を作り出す経営資源を委託しているとみる。企業はステークホルダーのためにあるのではなく、社会の中の1機関として存在し、「顧客の創造」を目的としていると言った。

確かにこれは完璧な理論であり普遍的だ。しかし、もし彼がまだ生きていれば現在のソーシャルワールドの現状を見て、「The purpose of a business is to create a customer who creates customers」と修正するだろうとShiv Singhは説いた。

企業からの一方通行のメッセージのみを顧客が受け入れてきた時代であれば、確かにそのままでもよかったかもしれない。しかし、顧客と企業、顧客と顧客が双方向にコミュニケーションを取れるようになり、顧客自身で情報を収集できるようになった現代では、企業の管理は及ばなくなる。これは良い面もあり、悪い面もあるかもしれない。

しかし、これを顧客が顧客を創造してくれると考えていく必要がある。良い製品やサービスを提供することができれば、顧客がその先の顧客に対して評判を伝えてくれ、自然発生的に顧客が増加していく。現在はソーシャルテクノロジーによってこのような基盤ができあがっている。

つまり、今しなければならないのは、既存顧客を大切に扱い、丁寧にコミュニケーションをとっていくことである。これは簡単なように見えて難しい。顧客の要求は常に高まっていくからだ。それに対応できなければ顧客や「顧客を創造する顧客」は離れていってしまう。そのため、Social Infulence Marketingでは顧客とのコミュニケーションを増加させ、常に求めるもの以上の価値を提供していく必要があると示した。

また彼はIdea5)として、このマーケティングの新世紀に合わせた組織体制の構築を早急に実施する必要性を述べており、ソーシャルの力を善用させるために全社的な体制に取り組むための組織例を示した。


一緒にブログを書いているAndyが最近口を酸っぱくして述べているように、日本国内の広告業界も再編が始まってきていると言える。オンライン側しか見てきていない人間として、マスメディアの業界について偉そうに言える立場では毛頭無いが、間違いなく人々はオンライン上で長い時間を過ごすようになり、可処分時間の消費をTVからインターネットへ移行してきている。特に若い世代は友人とのコミュニケーションにおいてそれが当たり前になっており、電車乗車中などの細切れの時間ですら、SNSやケータイ小説などのコンテンツに費やすようになってきている。今後もRazorfish社の先進的な取り組みをキャッチアップしていき、いかにして今の時代の消費者と上手に対話していけるのか、学んでいきたい。

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